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琵琶湖水産調査報告

滋賀県水産試験場は1900年に設立された、滋賀県の水産業振興のための公設試験研究機関で、古くはコイやマス類、セタシジミ等の重要魚介類の増養殖試験や生態調査、活アユの長距離輸送試験等を行い、事業成績書や試験報告書などとしてその成果を公表してきました。1951年からは「滋賀県水産試験場研究報告」としてその時々の課題に応じた研究成果を公表し現在に至っています。

この全3巻で構成される「びわ湖水産調査報告」は、設立間もない1911年から1915年の間にテーマ別にまとめられた報告書です。第1巻では、琵琶湖の魚介類の成育の基盤となる動・植物プランクトンの種類や生息状況など、第2巻では、セタシジミやイケチョウガイなど琵琶湖産貝類の生息場所や漁獲高など、第3巻では、琵琶湖だけでなく河川も含めた約50種もの魚類の生息状況や移植実績のほか、保護制度や加工方法などがまとめられています。

魚種名については「方言」も併記されており、例えば「だんぎぼ」「あぶらざこ」「びわたなご」「うみどぜう」など、現在ではほとんど使われていないものも多く記載されています。ビワマスに関しては「ます」として記載され、その幼魚を「あまごと併せ称す」とされ、当時河川のアマゴと同一視されていたことがわかります。また、現代では考えにくいことですが、様々な魚類の移植も行われ、当時、琵琶湖が食糧の生産場所として今以上に期待されていたことが伺えます。

以上のように、当時の漁業者や水産技術者が琵琶湖の魚介類に向き合ってきた背景を知る上で非常に貴重で興味深い資料となっており、漁業を通じた食文化をも垣間見ることができるもので、ぜひ、それぞれの目的に応じてご利用いただければ幸いです。

                                                            滋賀県水産試験場 元 次長 故 井出充彦 様